企業研究では近年、心理学にスポットが当たっています。特に人の欲望を喚起するマーケティングでは心理学を抜きにして、コトを進めることはできません。

ただモノをつくっても売れない時代。単にスペックが良いから、目新しいからだけでは消費者は飛びつかない時代となりました。常にお客さまが何を求めていらっしゃるかを考え、その満足する製品やサービスを提供していく「顧客満足度」の高い企業が生き残れるといわれています。消費者や顧客の心理をしっかり捉えてはじめてモノが売れる時代なのです。

また、同じ規模・業界の企業でもモチベーションが低い企業と高い企業は、利益率に差が出ていることも分かっています。当然高い企業が利益率も高くなりますが、そのモチベーションをどうやって上げるべきかが分からないため、多くの経営者や管理職が悩んでいます。

心理学はコミュニケーションの領域でも大きな関心事となっています。コミュニケーション力は最近の企業アンケートでは、最も重視する能力の一つであり、これを活性化するためにさまざまな取り組みが行われているようです。

コミュニケーション力を高めていくには、当然人間の心理を解読できなければいけません。相手がどんな性格で、どんな考えを持っているかを見極めた上で、さまざまなコミュニケーションをとることが重要になりますが、その前にまず自分がどんな人間であるかを客観的に知る、すなわちメタ認知する必要があります。どんな性格でどんな考え方をし、いろいろな状況に対してどんな行動をとる人間なのかを知るのです。自分がどんな人間かを理解していないとコミュニケーションは活性化しません。

また、近年高まっているのはリスクに対する意識です。よく不祥事を起こした企業では、「分かっていたのに防ぐことができなかった」というような弁解をする企業トップがいます。頭で理解していながら対策を打てなかったというのは、人間心理を理解した行動マニュアルができていなかったか、できていてもいざというときの行動に結びつくまで訓練が行われていなかったということになります。起こってから「しまった」では済まないのが現代。

企業経営、市場分析と不可分の心理学。経営を持続し、生き抜くための経営心理のキホンを紐解きます。