経営は、科学的なデータに基づいて合理的に判断をしていく作業だと言われます。一方で、経営の最終的判断は、「勘」だという考えも根強いようです。

実際名経営者と呼ばれる人たちは、そういった勘が働くようです。

たとえばトヨタの元会長の奥田碩さん。社長時代にプリウスを始めとするハイブリッドカーの開発を加速させる一方で、欧州市場の開拓のためにF1への参戦を決めて、業界関係者を驚かせます。周囲の人によれば、奥田さんは競馬もやる人でよく当てたそうです。独特の勘とセンスがあったからこそ販売台数世界トップを導いたのだと言えます。

ソニー創業者の井深大さんも勘の鋭い人でした。井深さんが亡くなった時、OBでノーベル賞物理学賞受賞者の江崎玲於奈さんは、弔辞で「未来を考え、見ることで、現在を明日を知るひとだった」とその独特の直感力と洞察力を称えています。

ソフトバンクの創業者孫正義さんも、勘の鋭い経営者でしょう。自己資本の数倍もの買収を大胆に仕掛けたり、度肝を抜くプランを打ち出したりするのは、常識や合理性だけでは捉えきれません。

サントリーホールディングスの社長、佐治信忠さんも勘を大切にする経営者の一人です。佐治さんは勘を、「普段の勉強とか経験から自分の中に蓄えてきたものだと思います。この勘をどう磨いていくか。どうすればいつも勘が冴えるかを考えること、それが経営者にとって重要じゃないですかね」と語っています。

こうした勘は天性のものなのでしょうか。大企業の成功者の話を出してしまうと、なおさらそう思えるかもしれません。しかし勘は鍛えることができます。鍛えることで、勘がしっかり身につき、働くようになります。

競馬の騎手やプロの棋士、プロ雀士など、いわゆる勝負師と言われる人たちは、勘を大切にしています。勘を鍛錬し、磨き上げるからこそ、トップに君臨し、圧倒的な勝率を収めています。

トップ勝負師たちは、勘の本質をどう捉え、どのように磨いているのでしょうか。

数字やデータに振り回される今だからこそ、「勘」を磨き、活かすことが必要です。時代を生き抜くための勘の正体と、その磨き方を勝負師たちに教わります。