「マグロ漁船」という言葉を聞いて、どんな印象を受けるでしょうか? かつてはあまりいいイメージを持たれない頃もありました。

「多額の借金ができて一攫千金のために乗り込む」。あるいは「いろいろな過去を背負って乗り込む」などなど。

そして一旦乗り込んだら、狭い室内、数ヶ月に及ぶ長い航海。むくつけき男たちだけの、いざこざや怪我が絶えない世界が待ってる。

そんなマグロ漁船に、ひょんなことから乗るはめとなったあるバイオ系企業の研究員がいました。彼が見た世界は、およそそれまでの抱いていたマグロ漁船のイメージとは違っていたのです。

売上は決して一攫千金の世界とは程遠く、普通のサラリーマンのほうが給料は良さそうです。その一方仕事はやはりきつく、十数時間連続できつい肉体労働が続きます。電話もネットも通じません。風呂はわずか数分で、浴室にはドアもありません。良い漁場がわかると、近隣の漁船とも交信して漁場を教えてしまう…何より驚かされたのは、いざこざや刃傷沙汰が絶えない世界だろうと腹をくくっていたところ、みな楽しそうに働いていたことでした。

何から何まで予想と違って、何から何まで陸(おか)のビジネスとはかけ離れていたのです。しかしそこには陸にはない、不確定の要素が大きい海ならではのリーダーシップと、マネジメントの極意がありました。

マグロ漁船に乗り込んだその研究員は、その後会社に戻り、そこで船長に言われたことを少しずつ実行していったのです。するとそれまでにっちもさっちもいかなかった、仕事がうまく回りはじめたのです。

マグロ漁船に乗る直接のきっかけだった、製品開発の遅れを取り戻し、ギクシャクしていた上司や部下ともうまくコミュニケーションがとれるようになりました。無事開発した製品はヒット。そしてマグロ漁船で学んだ知識と経験をベースに、経営コンサルタントとして独立、引っ張りだこの人気講師となったのです。

彼、齊藤正明さんがマグロ漁船で学んだマネジメントのエッセンスとは。