日本は古くから生活の中に昆虫を取り込んできた昆虫大国として知られています。イナゴや蜂の子のように佃煮などの保存食や滋養食として食べている地域も少なくありません。1919年の調査では、イナゴの佃煮は国民の50%以上が食べていたと言われています。だが都市化やグローバル化の波を受け昆虫食文化が衰退していきました。

しかしここに来て俄然昆虫食が注目を集めています。1つはあのFAO(国際連合食料農業機関)が、食料問題の切り札としての昆虫食について報告書を発表したため。こうした状況に察知して、ヨーロッパでも各国の行政機関が動き出しています。これは非常に画期的なことです。なぜならキリスト教の影響もあり、昆虫嫌いが多いヨーロッパでは、昆虫を食べることに抵抗があったからだそうです。フランスやベルギーでは、新たな産業として昆虫食産業を育成しようと国が動きはじめました。

日本でも昆虫食は静かな注目を集めています。若い世代を中心に昆虫を食べる集まりなどが催され、ネットなどを中心に活動が広まっています。昆虫食をレポートした本も増え始め、調理本も出ています。実際の食味も決して悪くはなく、一手間かければかなり日常食に近づけられるようです。

もともと昆虫はタンパク源やミネラルなどの栄養分が豊富です。昆虫そのものでなくとも、たとえば蜂がつくるプロポリスなどは、滋養強壮、美容の高級サプリメントとして広く知られています。

世界に目を転じるとアジアを中心に約20億人の人々が昆虫を食料として暮らしていると言います。言われているほど、マイナーな食べ物ではないのです。

また昆虫は飼料の変換効率がいいのです。牛肉を1キログラム育てるのには8キログラムの餌と大量の水が必要ですが、昆虫の場合は、2キログラムの餌で済みます。

注目を集める昆虫食の最前線はどうなっているのか。伝統国日本として、どう取り組むべきかを探ってみます。